電気工学とは、電気や磁気に関する様々な現象の技術的な理論や応用分野を研究する学問のことです。この分野は、電気回路や電気材料、発電機や電気通信、電灯照明や電気鉄道・自動制御システム・測定器など幅広い分野で用いられています。
電気工学が教育とされたのは、電気が科学としての興味の対象となった17世紀からさらに2世紀が経過した19世紀末ごろになります。1882年にドイツやアメリカの工科大学で電気工学科を設立したり、学位として選択できるようになりました。日本でも1871年に教育課程の前身がスタートしており、1886年には大学の工学部としての学びが可能になりました。同じころである1880年代には、教育分野だけでなく、世界初の電気力供給網を完成させたり、今では誰もが知る直流と交流の送電方式の特許が出願され、これらの業績はのちの電気工学の基礎にも大きな影響を与えるものとなりました。さらに、ラジオの発展には無線技術だけでなく、電子工学が大いに貢献しました。特にラジオには、電磁波の発生と検出、電波の送受信が不可欠で、これらの応用でテレビの開発にも拍車がかかりました。さらに、ラジオで開発された真空管は、電波の一種である強力なマイクロ波を発生させるマグネロンの開発の元となりました。このマグネロンの開発により、今や生活で必需品とも言われる電子レンジや、軍事拠点になくてはならないレーダー基地の運用にも資しました。電気工学の基礎とも言える理論は、電気回路学と電力工学です。
電力工学では、電気のエネルギーとしての活用が視野に入れられ、発電や送電にフォーカスが当てられています。これには、変圧器・発電機・発動機・パワーエレクトロニクスなどを含みます。また電気工学からは、情報伝達の必要性から通信工学が派生します。通信に必要な同軸ケーブルや光ケーブルの開発など伝達手段の発展に寄与しています。また、半導体の開発に絡み、半導体工学や光エレクトロニクスを含む電子工学が誕生しました。また、より大きな電気システムを扱うためには、電気の正確な測定が欠かせませんが、電気計測工学・計測工学はその分野の発展に役立っています。電気工学は今でも様々な工学技術を生み、学びの対象となっています。電気工学の基礎は、電気やその関連分野での活躍を目指す初心者にとって学んでおくべき大切な分野と言えます。基礎を学ぶことで応用を考えられるからです。