トランジスタと聞いてすぐに何をするものかわかる人は、あまり多くないと思います。便利に使っているスマートフォンにももちろん使われていますが、それを知らなくても使いこなすことができます。特に意識をする必要がないので、エレクトロニクスに興味のある人しか、耳にしない言葉と言えるでしょう。でも現在の電気製品なら間違いなく利用されている電子部品なので、知っているとエレクトロニクスの一端が見えてくるかもしれません。
スマートフォンなどを動かしている中身は電子回路と呼ばれる、とても複雑な部品が詰まっています。一見するとごちゃごちゃしているのでビギナーにはハードルが高いように思えますが、一つ一つ区別して見てみると、それほど難しいことはしていません。
電子部品には抵抗やコンデンサーなどいろいろな種類がありますが、トランジスタはそのうちの半導体素子と呼ばれる分類の代表格と言えます。半導体とは名前のとおり、半分だけ電子を導通するものです。主な目的は電流の増幅やスイッチングになります。電子回路には多くのスイッチが使われています。集積回路と呼ばれるものは、スイッチの集合体で、命令に従って複数のスイッチを切り替えて目的を達成します。
トランジスタは、2種類の半導体を利用して、目的を達成します。半導体にはPとNとあり、その組み合わせでPNP型とNPN型に分けることが可能です。両端にベースとエミッタ、真ん中にコレクタと呼ばれる電極がついています。ベースとエミッタ間に電圧をかけるだけでは、中間に電気のない部分ができて流れません。コレクタとエミッタの間に微量な電流を流すと、電気のない部分が消えて、スムーズにコレクタにかけた量よりも大きな電流が流れるようになります。この作用を利用して、スイッチや電流の増幅に使います。
トランジスタには特性によっていくつかの種類があります。電流が変化することで電圧を変えるパイポーラ型、電圧の変化で電流を変えるユニポーラ型、光信号が当たることで電流を流すフォトトランジスタ、電気が流れることによってスイッチがオンのままになるサイリスタなどに分けられます。
小型化が進み、微量な電流で電子回路を作成する必要がありますが、必要なところには十分な電流が供給される必要があります。そんなところにトランジスタを使うことで、メリハリをつけることが可能です。そのようにして、制御回路はさらに小型化することができます。