インダクタと聞いても、エレクトロニクスに詳しくない場合、何なのか全く見当がつかないはずです。そこでエレクトロニクスに詳しくない初心者でも分かりやすいように、インダクタの基礎の解説を紹介します。
インダクタとは、簡単に言うと電気エネルギーを磁気に変換して蓄積する事が出来る受動電子部品の事です。形状は芯の金属棒に、バネ状の金属線が巻かれているのでコイルとも呼ばれています。そしてバネ状の金属線に電気を流す事で、電流が流れて行く方向の右回りの方向に磁界が生じます。この時にバネ状の金属線の間隔をより密にしたり、何重にも巻いたりすれば巻くほど流す電流に関係なく、磁界は比例して強くなります。また芯の金属棒の材質や表面積を大きくすればするほど、磁界は強力になります。
ではなぜインダクタに電流を流すと磁石のように、磁界が発生するのかの原理を簡単に説明します。バネ状の金属線に電流が流れると、その線の中心に同心円状の磁界が発生します。そして磁界は電流の流れている方向から見て右回りに発生する特性があるので、そのような現象が起こります。だからバネ状が密になればなるほど、また直径が小さければ小さいほど磁力が高まります。そしてインダクタの芯の部分に使われる金属棒には、磁性をおびやすい金属が使われます。何故なら磁性が高い方が、より磁力を蓄えられやすいからです。
インダクタはどのような用途に使われて、どのような役割を果たしているのかを簡単に紹介します。家庭で使われている電化製品の場合は、コンセントから出てくるのは交流電流ですが、電子回路は直流電流で駆動する製品が殆どです。そして交流を直流に変換する時に、ノイズが発生してしまいます。精密機器を上手に動かすためには、このノイズが少ないほどよく動かせます。インダクタには交流電流を通しにくくして、直流電流を通しやすい性質があります。つまりインダクタを電流回路内に入れる事で、交流を直流電流に近い状態に変換して精密機器の回路に流せます。さらに高周波を阻止する特性もあるので、余計なノイズも減らせます。他にも身近な携帯電話や無線LANなどの通信回路の超高周波数帯域で、インダクタをより強力に改良した製品が組み込まれています。それ以外にも海外旅行で身近な、変圧器でもインダクタが使われています。変圧器の構造を簡単に解説すれば、1つの強い磁性体にバネ状の金属線を2つ以上巻き付けた構造でできています。