電子回路の設計は、アナログ回路の設計にこそ基本があります。電子回路設計の奥深さは凄いので、1つ1つ理解を深めながら、基礎知識を構築していくことが大事です。デジタル回路はより高度ですが、アナログ回路が基本でその延長線上にあるので、まずはこちらを習得するのが先決です。
アナログ回路とはいっても、技術が枯れていて理解するのは簡単だと思うのは早計です。基礎知識の理解は不可欠ですし、回路の動作の仕組みが直感的、感覚的に分からないと、設計の基礎も応用も理解できないでしょう。回路を構築するには理論的な思考が欠かせませんから、その理論的なアナログ回路の構成要素を覚えて、設計の基礎を身につけるようにしたいところです。
基礎の基礎にあたる要素としては、回路理論の電気回路と、制御理論の制御工学、そしてアナログ電子回路の3つが挙げられます。電気回路は交流解析とインピーダンス、制御工学はステップ波形と周波数解析、アナログ電子回路はトランジスタ、オペアンプといった回路の基礎と技術を取り扱う分野です。全てを直感頼りにするのは駄目ですが、設計の場面では時に直感力が問われます。それに、数式を追うだけでは本当に理解できるとはいえないので、数式に加えて直感や感覚も大切にするのが良いでしょう。
勿論、直感と感覚を活かす為には、基本的な知識と理解がなければ不可能です。電子回路の理解を進めようと思うなら、電子部品の役割や働きを知ることも必要です。それは知識としてだけではなく、実践しながら直感力を養うのが理想的だといえます。単純な働きをする電子部品の役割が理解できれば、もう少し複雑な構成の部品、例えばオペアンプも理解できます。回路構築の基本は電気回路にあって、直流と交流から始まり、オームの法則やコンダクタンス、入力と出力といった関係の理解を進めていくことになります。
交流回路は直流回路よりも難易度が高いですが、その理由はサインやコサイン、実数と素数を含む複素数を取り扱うことにあります。数学の理解が欠かせませんから、学生時代に数学を苦手としていた人にはハードルが高いです。しかし、ここを乗り越えなければ先に進めませんし、アナログ回路の設計の基本を覚えるのも難しいですが、乗り越えることができれば可能性は広がります。信号を増幅する回路の設計が行えるようになれば、できることが一気に増えて、実践的な回路の構築に挑戦可能となるでしょう。基礎にこそ応用の可能性がありますから、簡単な回路も軽んじたり甘く見るのではなく、完全に理解するつもりで臨むのが正解です。