私たちの身の回りには多くのエレクトロニクス製品がありますが、いずれも電気を供給しなければ稼働しません。電気製品を購入した際に付いてくる取扱説明書の仕様書を見ると、使用する電気の種類の欄にACとかDCというアルファベットの記号が書かれています。スマートフォンやノートパソコンなどの電源アダプターにも、入力と出力のそれぞれの項目にACとDCの2つの記号がタイプされているのを見かけることがあります。ACとDCは電気信号の方式を表す記号で、電気製品を使用する上で利用者も知っておくべきお話です。
実は一口に電気といっても、交流と直流の2種類に分けることができます。電気製品などに表示されているACとかDCの記号の正体は、交流と直流のいずれかを示しています。ACというのは“Alternating Current”の略で、日本語に直訳すると“交互に流れる電流”(交流電源)を意味しています。DCは“Direct Current”を略したもので、日本語に直訳すると“基本の電流”(直流電源)です。直流はプラス極からマイナス極に一定の電圧で流れる電流で、流れる向き(極性)が決まっています。これに対して交流とは波のように電圧が変化しながら流れる電流で、決まったペースでプラス極とマイナス極が入れ替わっています。
発電所で作られた電気は、電線を伝って家庭用や会社に送電されます。発電所で作られた電気は27万5000V~50万Vもの超高圧で、送電線を通って消費者のもとに届けられます。高圧の電気は使いにくいので、100Vまたは200Vに電圧を下げてから家庭や会社の電源コンセントに供給されています。家庭用の電源コンセントに供給されている電気はAC(交流)100Vですが、電気製品の種類ごとに電圧を下げたり直流に変換されるなどして使用されます。
電気製品は種類ごとに、使用する電気の種類がAC電源とDC電源の2つに分けることができます。掃除機・洗濯機・エアコン・冷蔵庫などのように消費電力の大きな機器は、AC電源が使用されます。これに対してスマートフォンなどのモバイル機器の充電器やLED照明などの機器は、コンセントから供給されるAC100Vの電気をDC(5V~12V)に変換して使用されます。電気を供給するために電源コードを接続する必要がありますが、コードの内部を流れている電気信号は違いがあるということを知っておくようにしましょう。