私たちの身の回りには多くの電子機器があり、簡単なものから複雑なものまでさまざまな電子回路が使われています。ちなみに電子回路とは、ダイオードやトランジスタなどの電子部品を含む電気回路をさします。そのため、これらの電子部品の働きや使い方を理解することは電子回路の基礎といえます。
電子部品にはそれぞれに役割がありますが、ダイオードとは一方向にのみ電気を通すという働きがあります。身近なものに例えるならば、一方通行の道路のようなものと考えることができます。電気を通すための導線は、どの方向にも電流を流すことができます。これに対してダイオードは、ある決まった向きにしか電気を通さないという性質があります。そのため、この電子部品は逆方向に電気が流れると困るような場所に使われます。身近な器具であれば、タブレット端末やスマートフォンを購入すると付いてくる充電器のアダプターに使用されています。家庭用の電源コンセントで供給される電気は50または60Hzの交流(100V)ですが、モバイル機器の電池を充電するためには5Vの直流に変換してやる必要があります。交流は1秒間に50回または60回も電流の向きが逆転しているので、アダプターは電圧を下げた後にダイオードを用いて一方向の電流だけを取り出して整流させることで直流の電流を作り出しています。
この電子部品が電流を1方向にのみ通過させる仕組みですが、内部は2種類の異なる半導体(P型とN型)を接合した構造になっています。P型半導体にはシリコンに正孔と呼ばれる電子を吸収しやすい性質を持つ不純物が混入されていて、マイナスの電荷である電子を受け入れやすい性質を持ちます。これに対してN型半導体には電子を放出しやすい不純物が含まれているので、プラスの電荷を受け入れやすいという性質を持っています。性質の異なるこれらの半導体を接合して電流を流すと、P型半導体に電池の+極を接続するとプラスの電荷がN型半導体に向かって移動して接合部で両者が合体することで回路に電流が流れます。P型半導体を電池の-極に接続すると、P型反動内の内部のプラスの電荷が電池の側に移動し、N型半導体内のマイナスの電荷も電池の+局に移動するので電流が流れなくなります。
ちなみにLED(発光ダイオード)も1方向にしか電流を流しませんが、順方向に電流を流してP型とN型の半導体の接合部でプラスとマイナスの電荷が合体する際に光を発する性質があることから、照明などに使われています。